研人オンライン「執筆の目的」

私たちが文章を書く、所謂「執筆」の目的は、「記録する」と「人に伝える」そして「思考する」の3つだと思います。
皆様ご存じの通り、「言語」と「文字」を合わせて「言葉」と言います。
人類が言語を発明したのは170万年前と言われています。

450万年前にアフリカ大陸東部で人類が誕生したと言われますので、人類が誕生して280万年の間は言語がなかったのです。
そして、文字の発明は今から僅か1万1千年前だと言われています。
「言語」は意思疎通、所謂コミュニケーションのために発明されたと考えられます。
人類は火の利用技術に続く人間独自の知識である言語を創造したことにより、霊長類として地球上で特別の存在になったと言えます。

尚、最近の研究では、イルカなど知能の高い動物も言語に相当する意思疎通手段を有していることが判明しています。
一方、「文字」が発明されたのは、記録する必要があったからだ考えます。
そして、文字の発明によって人類は文明を獲得したと言えます。
古代遺跡に刻み込まれた文字が数千年の時を超えて、その時代の文明を現代に伝えているのです。
文字の発明により、古い出来事を口頭で伝える「語り部」は職を失ったと考えます。
しかし今も、文字を持たない民族が存在します。
この民族にとっては、今も語り部は重要な存在だと言えます。
そして、文字は自分の思いを人に伝えると同時に、執筆する中で「思考」という知的作業を行っていると言えます。
言語と知識を文字にする作業である執筆が、自分の考えを整理し新たな知識を生み出し、時間を超越して多くの人々に正確に伝えることができるのです。

ご存じのように、特許や博士号を取得するには、その内容を文章にする必要があります。
言い換えれば、発明や発見など新たな知識は文章にしなければ認められないのです。
つまり「形式知」、知識を文章という形にすることが科学であり知的財産だと言えます。
その意味で、発明とは言えなくても「自分の本を出す」ことは価値ある活動だと言えます。
その活動は、執筆の3つ目の目的「思考する」という行為に他ならないからです。